心臓病用キャットフード

心臓病用キャットフードは、心筋症などの心臓病の症状がみられる猫のために開発された療法食です。療法食とは、特定の病気に対処するために栄養バランスを調整されたペットフードのことを言いいます。

心臓病用キャットフードの特徴

心臓病用キャットフードは、下記のような点に配慮して作られています。

ナトリウムを制限している

ナトリウム(塩分)が多く含まれたものを食べると、猫は喉が渇き、必要以上に水を飲むようになります。体内の水分量が増えると血液量も増えるため、血圧が増し、心臓に負荷がかかってしまいます。心臓病用キャットフードは血圧や血液量を減らすため、ナトリウムを制限して作られています。

リンを制限している

心臓病にかかると腎臓に流れ込む血液量が減少し、腎臓のろ過機能が低下します。それにより体内のリンが排出されにくくなり、高リン状態となってしまいます。高リン状態が続くと、骨がもろくなったり体内に石灰ができたりといった問題が起こってきます。心臓病用キャットフードは、これに配慮してリンの含量を制限しています。

タウリンを多く配合している

タウリンは、猫の心臓の筋肉を動かすのに必要不可欠な成分です。しかし猫は体内でタウリンを合成することができないため、健康な猫でもタウリン不足になりがちです。心臓病用キャットフードには、猫の心筋の収縮力を高めるため、一般的なキャットフードより多くのタウリンが配合されています。

ドライフードとウェットフードの違い

心臓病用キャットフードにも、大きく分けてドライタイプとウェットタイプの2種類があります。

ドライタイプ

水分量12%以下のキャットフードで、1kg以上の単位で販売されていることが多いです。未開封であれば約1年、開封後であっても約1カ月は日持ちします。1食あたり約120円と比較的安価ですが、水分量が極端に少ないため猫が水分不足になりやすいというデメリットがあります。
水分量12%以下のキャットフードで、1kg以上の単位で販売されていることが多いです。未開封であれば約1年、開封後であっても約1カ月は日持ちします。療法食でない一般的なドライフード(1食あたり約25円)と比べると、1食あたり約120円と高価ですが、ウェットタイプの心臓病用キャットフードと比べると安価です。
また、ドライタイプのキャットフードには、水分量が極端に少ないため猫が水分不足になりやすいというデメリットがあります。猫には元来あまり水を飲む習慣がない上、病気で体力が落ちていると水分補給が猫の身体の負担になり、さらに水分不足になりやすくなってしまいます。ドライタイプの心臓病用フードをあげる際は、水分不足に充分気をつける必要があります。

ウェットタイプ

水分量75%以上のキャットフードで、ほとんどの場合、1食分ごとに缶詰やレトルトパウチの形状で販売されています。未開封のものは約3年日持ちしますが、開封後は1日以上経過すると傷んでしまいます。1食あたり約200円とドライタイプより高価ですが、食事と一緒に水分も補給できるというメリットがあります。
水分量75%以上のキャットフードで、ほとんどの場合、1食分ごとに缶詰やレトルトパウチの形状で販売されています。未開封のものは約3年日持ちしますが、開封後は1日以上経過すると傷んでしまいます。1食あたり約200円とドライタイプの心臓病用キャットフードより高価ですが、食事と一緒に水分も補給できるというメリットがあります。病気が進み体力が落ちている猫にとっては、食べやすく最適なフードと言えるでしょう。

最後に

飼っている猫が心臓病にかかっている場合は、担当の獣医師とよく相談して食事内容を決めることが大切です。
パッケージに「心臓病に配慮」と記載されているキャットフードも販売されていますが、これは療法食ではなく総合栄養食の可能性があります。総合栄養食とは、猫が必要とする栄養をバランスよく配合したキャットフードのことですが、あくまで健康な猫のために作られています。そのためこのような配慮された総合栄養食を与えてもでもある程度の効果は期待できますが、心臓病を患っている猫の症状は緩和されませんには、療法食を選ぶのが一番でしょう。